続、サルりすってこんなアプリ

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2012/03/14 15:02 投稿先 97.サルでき本 原稿以前 投稿者 カワサキ タカシ

だ原稿書いてるんですわ。

アプリを作るときに必要になるものはなんだろう。それはズバリ「愛」である。なんと言われようと愛が大事なのだ。愛のないアプリなんぞ、七味の入っていない蕎麦のようなものである。合ってますか。この例え。愛と言ったが、「ゲームちゅあーん」と言うような類のものではない。人目につかないところでそうすることは別に止めないが。もう少し誤解のないように言うと、愛着、と言ったほうが良いだろう。技術の前に、愛着を持って取り組むことが大事なのだ。

もう少しだけ掘り下げておこう。ワタシの過去の経験則から言って、「何を作っているかよくわからないけど、作れと言われたから作った」というモノほど、バグが出やすいものは無いのである。それはそうだろう、そのテキストフィールドにどんなデータを入力するのかを知らないし、知ろうとも思わないような人が、細かいチェックなどできるハズがない。結果、とりあえずそれっぽい見た目のモノが出来上がってしまうのである。この負の連鎖に陥らないためには、作るものを徹底的に知っておくことが必要なのだ。それには、愛着が要るのである。


すっかり精神論になってしまったので話を戻そう。今回のサンプルアプリ、サルりすを作るにあたって、我々は、まずこのアプリに必要以上の愛を注ぎこむことにした。技術力の無さをカバーするためじゃね?そういう話もある。ただ、本当にそれは必要なのだ。イイモノを作るためには。

まず、ストーリーを考えよう
ゲームを作ったこともないような素人がいきなり新作ゲームを考えると、こうなる。

どーだスゴイだろう。ニッポンの大人はこんなに病んでいるんだよ。黒い感情を埋めて埋めて埋めまくってやるぜ。ゴールなんて無え。後に残るのは無数の墓標と虚無感だけだ。

…えーと。さすがにコレはまずかろう、ということで、我々は考え方を変えることにした。何か面白いものを作ろうと思うと、人はどうしても仕組みの面白さに集中してしまう。否。ゲームは仕組みだけで出来上がるにあらず。ストーリーで楽しませることもできるものなのだ。楽しい世界を味わうための方法がたまたまゲームだった。そんな考え方、なんだか素敵でしょう?

森の動物達が楽しく遊んでくれるのはどうだろう。サルとか、ゾウとか、ウマとか。みんなにはいろんな力があって、それが遊びをより面白くしてくれるのだ。やさしい子もいれば、イジワルな子もいる。でもみんなで遊べばもっと面白い。さあ。キミもおいでよ!

…はいはーい。みなさま。帰ってきていただいてよろしいでしょうか。大の大人が、恥ずかしげもなく、真顔でこういうことを熱く語り合う。それがイイのだ。ユーザーさん達にそのストーリーを楽しんでもらおうと思っているのに、自分たちがストーリーを小っ恥ずかしがっていては始らない。目一杯時間を取って欲しい。紅茶でも入れて、ポンデリングでも買ってきて。非日常感にワクワクしつつ、今日だけは子供に戻って、リラックスして考えよう。

ストーリーができたら、次は絵を描こう
大半の人間様は、実際に目で見ないことにはイメージが湧かない。どんな素晴らしいストーリーができあがったとしても、3人で話し合っていたら、3人の頭の中に浮かんでいる絵はまず間違いなくバラバラなのだ。なので、下手でも何でも、目に見えるように絵を描くことがとても大事になる。場面設定、キャラクター、どんどん描いていこう。複数のページに及ぶような場合も、全ページ分描くこと。頭の中に残っているものを無くすことが、今の段階の目的である。

我々のサルりすは、最初こんな感じ。

いかがだろう。ワクワクしてくれるだろうか。伝わっているかどうかが物凄く心配だが、話し合っているときは大盛り上がりだったのだ。「ネコでしょネコ!やっぱライオンは入れておかないとさー!」「落ちゲーでこんな世界観無いよね。癒し系落ちゲー、ブームになったりして」夢はどこまでも膨らんでいくのである。

そしてそれを、絵を描ける人が描くとこう。

「キャー!ナニコレ。超カワイイ。グッズ行けるよグッズ!」我々の妄想は、既に世界を獲ったくらいの勢いである。プログラミングを始める前にこれくらいテンションが上がれば、大抵のキツイプログラミング作業も乗り切れる。プロはスゲェ、あっと驚くような見た目になる。ただ、順番からすると、自分で描いて、任せる。が正しい。全てを任せてしまっては自分のものにはならない。なんなら自分の絵でいいじゃないか。それはそれで、世界でひとつしかないアプリになるのだから。

ここからプログラムに触れる
充分にモチベーションが上がったら、いよいよプログラミングである。このサルりす。プログラム開始から終了まで、ダラダラダラダラやって結局4ヶ月くらいかかってしまった。当初は、2ヶ月くらいでできるかなーと、たかをくくっていたのだが、やればやるほど、「もうちょっとココをこうしたい」というアイデアが出てきてしまって、収集が付かなかったのである。


プログラミングは結構時間がかかる。問題は、そのかかっている時間に、我々は「いろいろ考える」のだ。考えた結果、当初想定よりも良いアプリになることも多々ある。が、反対に、当初の目的がすっかり抜けてしまうことも多々ある。だからこそ、最初にどれだけストーリーと絵をしっかり作っておけるか、ということが大事になってくる。サルりすはある程度時間に余裕がある中でできたから良かったものの、短期勝負で作るアプリの場合は、できるだけしっかり事前準備に時間をかけよう。

音を追加してみよう
プログラムをある程度組んで、ボタンやら画面遷移やらが出来てきたら、効果音を鳴らしてみよう。ワタシはあまり音に対して気にするタイプでも無かったので、正直効果音をあまり重要視していなかった。サルりすについても、最初の頃は、「ま、ゲームだしね。音が鳴らないのもカッコ悪いでしょ」くらいの認識だったのである。ところがどっこい。半完成品に音を足してみて驚いた。どうやら音というものは人間の感覚にダイレクトに訴えるものらしい。それまで自分が作っていたプラモデルが、突然言葉を喋ったくらいの劇的な進化を遂げたのである。

ただ、音作りは難しい。カエルの歌、もしくは猫踏んじゃったクラスのワタシの音楽スキルでは、まず何からしていいかわからない。こういうときにアップルは、「ほら!ガレージバンドがあるよ!」とオススメしてくる。うーむ。それもムズカシいんだよねー。そうなったら最後は素材集に頼ろう。インターネット上は数多くの音源が配布されている。アプリでも利用可能な無料音源を探すもよし、ハイグレードな有料音源を買うもよし。


音作りができる方が周りにいれば、ぜひお願いしてみよう。オリジナルの曲なら、アプリができあがったときの感動が違う。

ラストスパート、翻訳に挑戦しよう
愛着バリバリ、まるで我が子のように作ってきたサルりす。ここまできたら、ということで最後は海外対応までしてみることに。ええ、もちろんワタシの貧素な英語では対応になりませんのでして、それ相応のスペシャリストさんにお願いしたわけなのですが。これがもう大正解。


リリースしてからびっくりしましたけど、ガツンガツン海の向こうからダウンロードされました。アメリカ?いえいえ、そんな遠い海の向こうではなく、すぐお隣りの中国です。ビバ10億パワー。カスっただけでものすごいインパクト。你好中国のみなさま。サルりす楽しんでいただけましたか?

長きに渡って作ってきたサルりす。その割にリリース時にゲームセンターの登録をミスったりしていましたが、作ってる方は道中を楽しんで作ってきました。やっぱり愛だよね、愛。我々制作側の無駄に熱い想いが詰まったサルりすは、ダウンロードサイトからソースコードまるごとダウンロードすることが可能です。本に書ききれない部分は「コメント」として書いていますので、そちらもお楽しみくださいませ。


※この記事は今度出す本の下書きの下書きです。
※全ボツになることもありますので、番外編としてお楽しみください。

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